地球を回る国際宇宙ステーション(ISS)が2011年に完成し、だんだんと馴染みやすいものになってきたと思ったら、月の周りをまわる宇宙ステーションの計画が進んでいるようです。
2019年3月に深宇宙探査に向けた「月軌道プラットフォーム・ゲートウェイ」の開発を進めると発表がありました。
何のために?
難しいの?
いつできるの?
ご紹介します。
月軌道プラットフォーム・ゲートウェイ
人類の活動領域を月、そして火星へと拡大するために、その足掛かりとなる「ゲートウェイ」を月起動上に建設しようということで、国際宇宙ステーションに関わるアメリカ、カナダ、ロシア、EU、日本が協力して進めていくようです。
ゲートウェイの概要
正式名称は「 月軌道プラットフォーム・ゲートウェイ(Lunar Orbital Platform-Gateway) 」。
ゲートウェイ計画には主に、有人月探査の前哨基地として、深宇宙での長期間の宇宙訓練施設として、有人火星飛行の土台としてといった目的があります。
2017年から検討が進められており、現段階ではほぼ内容も固まってきたようです。
搭乗人数は4人で、各ミッションは30日~90日ほど。
大きさはISSよりも小さく約75トンほどです。ちなみにISSは約420トン。
また、ISSはサッカー場くらいの大きさなので、だいたいゲートウェイの大きさもイメージできますね。
また、ゲートウェイの軌道は結構楕円形でしかも月から結構遠くまで行きます。
ゲートウェイの構成
国際宇宙ステーションのようにいくつかのモジュールを複数回に分けて打ち上げて、月を回る軌道上でドッキングして完成させる予定です。
下記写真はどのようなモジュールでゲートウェイが構成されているのか最初に発表されたときのイメージです。
だいたい、
- ゲートウェイを動かす
- 人が住む
- 人が出入りする
- 倉庫
- 燃料を出し入れする
- 燃料を貯めておく
- 他の宇宙船とくっつく
- ロボットアーム
みたいな役割があります。
各モジュールごとにどこの国が造るか分担されています。
下記写真が2019年3月に発表されたもので、モジュールごとの担当が分けられています。
- 電力・推進要素:NASA担当
- エスプリ:EESA担当
- 米国利用モジュール :NASA担当
- 国際パートナー居住区: EESAとJAXA担当
- 米国居住区: NASA担当
- 多目的モジュール:ロスコスモス担当
- ロボットアーム:CSA担当
- 物資供給船:NASAとJAXA担当
- オライオン搭乗員モジュール:NASA担当
- オライオンサービスモジュール:EESA担当
ゲートウェイ完成までのスケジュール
ゲートウェイの建設は2022年からスタートが予定されています。
最初は電力推進要素とロボットアームが打ち上げられます。
そして、2024年にエスプリ、米国利用モジュール、国際パートナー居住区を、2025年には米国居住区を、そして2026年には多目的モジュールを打ち上げ、ドッキングが完了し2026年に完成予定です。
また、物資供給船は2024年に最初の打ち上げ予定で、オライオン宇宙船はそれぞれのモジュール打ち上げ時に合わせて打ち上げられる予定。
*ゲートウェイに関する上記の計画は現段階での情報であり、変更の可能性があります。
火星探査にむけて
ゲートウェイの完成以降には火星探査に向けての計画も動いています。
2027年には深宇宙輸送機 (Deep Space Transport、DST) とよばれる 有人火星探査が可能な41トンもある大型の宇宙船の打ち上げが検討されています。
地球から打ち上げられたDSTはゲートウェイと結合しもろもろ機能の確認をした後、2029年にゲートウェイを離れ単独で月を周りを試験航行。
2033年以降に火星に向けて約1000日間の旅に出発します。
ゲートウェイに関しては、なぜ月ではなく月軌道に建設するのか?といった疑問やいろいろな政治的なからみもあるようですが、とにかく深宇宙探査に向けた活動がどんどん盛んになってきています。
楽しみです。
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