テラフォーミングという言葉を聞いたことありますでしょうか?
- 聞いたことない!
- 聞いたことあるけどなにそれ?
- 実際できないでしょ?
そんな方におすすめの記事でございます。
ご紹介します。
テラフォーミングとは
テラフォーミングとは、地球以外の惑星を人為的に人間の住める環境に変えることを言います。
日本語では地球化、惑星改造、惑星地球化などと言われることもあります。
2019年時点ではまだテラフォーミングした惑星もなければ、実現可能性もかなり低いのが現状ですが、研究はいろいろなところで進められているホットなワードのようです。
日本ではテラフォーマーズというマンガが人気なので、知っているよという方も多いかもしれませんね。
現時点でどのようなテラフォーミングの方法が考えられているのでしょうか?
テラフォーミングの方法
人間がその惑星に住めるかどうかは主には太陽から届くエネルギーの量によって決まっており、地球よりも温度が高い惑星と低い惑星で考えられているテラフォーミングのやり方が違ってきます。
現時点では火星と金星が主なテラフォーミングの対象になっているので、この2つの惑星でテラフォーミングのやり方に関するアイデアを見てみます。
火星
火星の1日は地球と同じほぼ24時間で、赤道傾斜角が25度と地球に近く四季があり、太陽系では最も地球に近い惑星と考えられています。
しかし、地球よりも太陽から離れており平均気温が-43℃とかなり寒いので、人間が住むとするとまずは温度を上げる必要があります。
温度を上げるアイデアとして、
- 温室効果を発生させる気体(アンモニア・メタン・フッ素など)を直接撒く。
- 火星の北極・南極にあるとされるドライアイスと氷を解かし、水蒸気と二酸化炭素を放出させ温室効果により気温を上げる。
- 巨大磁気シールドで太陽風を防ぎ、二酸化炭素を保持することで温室効果により気温を上げる。
- 黒い藻類を繁殖させ、火星を黒くして熱を吸収しやすくする。(太陽からの入射光に対する反射光の比=アルベドを変える)
- 温室効果の役割を果たす人工の断熱材で火星を覆う。
- 火星を地球の公転軌道まで持ってくる。
2番目のドライアイスと氷を解かすやり方は、火星軌道上に巨大な鏡を建設し太陽光の反射で温めたり、南極と北極の上空で爆弾を爆発させたりなどいくつかアイデアが出ています。
しかし、火星には火星の温度を上げられるほどの二酸化炭素がそもそもない(地球の大気圧の約7%までしか大気圧を上げられない)、ということを先日NASAが発表しており課題もあり状況です。
また、5番目の人工断熱材で覆うやり方は、シリカエアロゲルという素材でやろうと考えられているものの、火星全体はさすがに大きすぎるのである場所だけ覆うというようなやり方ならできるかもと言われています。
金星
金星は惑星の中では地球に最も近く、地球とほぼ同じ質量でその結果重力もほぼ同じという特徴がありテラフォーミングの構想が上がっています。
しかし、地球よりも太陽に近く平均気温が400℃もあるので、人が住むにはまず温度を下げる必要があります。
太陽光が強すぎるのと、二酸化炭素による温室効果が強すぎるのが主な原因なので、
温度を下げるアイデアとして、
- 微生物や藻類を大気圏上層部に繁殖させ、光合成により二酸化炭素濃度を下げる。
- 宇宙に巨大な日傘を建設して太陽光を遮る。
- 巨大な物体を衝突させ、大気を重力圏外まで飛ばす。
なんだか火星より難しそうですね。
実際金星よりも火星のほうテラフォーミングは有望視されています。
1番目の藻を繁殖させるやり方は、光合成の際にわずかに水を消費する必要があるものの水が金星にわずかしかないので酸素は十分増えないといわれています。
また、2番目の太陽光を遮るやり方は、もしそれが達成できて二酸化炭素濃度が下がったとしても水不足の問題が残るので、人が住むのはまだ難しいといわれています。
気体と熱の問題の先に水不足の問題があり、その解決のために氷を含む彗星や小惑星を人工的に衝突させることも考えられています。
さらに、金星の自転を加速させることで解決しようというアイデアもあるようです。
火星も金星もいろいろとアイデアはありますが、どれほど前からこのような真剣な研究がされてきたのでしょうか?
テラフォーミングの歴史
1961年の天文学者カール・セーガンの研究をきっかけにして世界中の研究者が研究を開始されています。
1965年にアメリカが打ち上げたマリナー4号が初めて火星の表面を撮影。
1976年にアメリカのバイキング1号が火星着陸に成功し、初めて火星地表の鮮明な写真の撮影に成功。
また、同年にはNASAがplanetary ecosynthesis(プラネタリー・エコシンセサイズ)」との題目でテラフォーミングをテーマにしたシンポジウムを開催しています。
実際に火星でデータが取れたので、研究もさらに進んだという感じでしょうか。
1991年にはNASAの宇宙学者クリストファー・マッケイによる論文がネイチャー誌に掲載され、火星のテラフォーミング計画についてより具体的な案が出ています。
ただ、これまでに無人火星探査機は数多く打ち上げられてきており、有人の火星探査も計画は進んでいるものの、火星探査は2/3が失敗してきているということもあり、予算の使い方には賛否両論あるようです。
最近だとSpaceX社のイーロンマスクがテラフォーミングについて計画を進めているようで、実現可能性はまだ低いものの、多くの人間がテラフォーミングを現実のものとしてとらえ行動するようになってきてはいます。
テラフォーミングの現状と課題
火星のテラフォーミング計画において、直近では上でご紹介したようにNASAがイーロンマスクによるテラフォーミング案を否定しています。
イーロンマスクは、火星の南極・北極にあるとされる二酸化炭素を溶かし大気中の二酸化炭素を増やすことによる温室効果で火星をあたためようとしていたのですが、NASAが火星にはそんなに十分な二酸化炭素がないよという発表をしています。
参考) https://www.nasa.gov/press-release/goddard/2018/mars-terraforming
そんなNASAが2017年に発表している案が、巨大磁器シールドで太陽風から二酸化炭素が吹き飛ばされないよう火星を守り、温室効果で気温を上げようというものです。
地球には地殻変動による磁場があるので太陽風から大気を守っているのですが、火星には磁場がないので人工的に磁場を作ることで二酸化炭素を保持し、これにより火星のテラフォーミングが引き起こされるだろうということです。
現時点では磁気シールドと藻の案が有力のように感じますが、時間が最低でも数十年くらいはかかりそうですね。
火星探査で新たなデータが入手できればまた新しい案も出てくると思いますし、もともとは火星にも水があったとNASAが発表しているので、火星の歴史をしっかりたどっていけばテラフォーミングがより現実的になってくると思います。
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